インフルエンザ脳症ってどんな病気?

インフルエンザ脳症とは、インフルエンザに感染したことをきっかけとして急激に発症する合併症で、脳の神経細胞などにダメージを与えてしまいます。
インフルエンザ脳症という名前はついていますが、脳だけでなく全身の様々な臓器にまで障害を及ぼすこともあり、重症化すると多臓器不全を引き起こすこともある恐ろしい病気です。

インフルエンザに感染したことが直接の原因になるのですが、ウィルスは脳の中で増殖するわけではありません。
感染したことで発生する物質によって脳や様々な臓器が損傷し、脳障害や肺炎、胃腸炎などの合併症を引き起こして死亡してしまうこともあります。

初めて確認されたのは1995年頃で、2000年に入ると一般的に認知されるようになってきました。
アジア地域で特に重症化する患者が多いとされており、日本では年間で約100から500例ほど発症が確認されています。
1歳から5歳までの子供に多く見られる病気で、流行するインフルエンザの型によっては5歳から10歳の子供など好発年齢に違いも見られ、5歳を超えたからと言って油断はできません。

まずはインフルエンザに罹患していると確定されたのち、意識障害が起きた場合にインフルエンザ脳症が疑われます。
CT検査で脳障害の発生が確認された段階で確定診断となり、その後はMRIや脳波などを調べて更に詳しく診断が進められるため入院が必要です。
重症度を調べるために、血液検査や尿検査が行われることもあります。

治療としてはすぐに解熱剤を使ったりするのではなく、まず全身の状態を改善することが求められます。
必要に応じて酸素投与や脱水のケア、ショック状態に陥っている場合はその改善など様々な管理が必要です。
2000年頃には発症した子供のうち約3割が死亡して2割以上に何らかの後遺症が残っていましたが、最近では死亡率は1割以下に抑えられています。
後遺症の発現確率は変わっていませんが、多くの子供達の命を救えるようになったのは大きな進歩です。

インフルエンザ脳症が発症するまでの流れ

インフルエンザ脳症を発症するには、まず原因としてインフルエンザに罹患している必要があります。
インフルエンザになっていないのにインフルエンザ脳症だけ発症するということはあり得ないので、高熱が出たからといって過剰に心配しないようにしましょう。

インフルエンザによる発熱が見られると、それから数時間もしくは1日以内にけいれんや意味のない言動などが無意識下で起こります。
さらに悪化すると意識障害が見られ、呼びかけなどにも反応しなくなります。
意識障害はどんどん進行していき、その間にもけいれんは繰り返し起きることが多いです。

症状が進行していくに従って、脳以外の様々な臓器にダメージが現れるようになります。
腎障害が起きている場合は血尿が見られますし、激しい下痢など胃腸炎のような症状や重い肺炎になってしまうこともあります。
この他、肝機能障害や出血傾向の見られる凝固障害が起きることもあり、症状によっては自発呼吸ができず人工呼吸器を着けなければなりません。

ここまで症状が深刻化するのは稀ですが、このような状態になった場合はほぼ確実にインフルエンザ脳症を発症していると考えられます。
ここで注意したいのが、解熱剤の使い方です。
インフルエンザ脳症の場合、サイトカインという特定の物質が大量に生成され、それが原因となって体中に炎症を引き起こします。
解熱剤はこの炎症を抑えてくれる物質の働きを阻害してしまうため、インフルエンザ脳症の症状を悪化させてしまうことが多いです。

インフルエンザにかかっている際に意識障害や意味の分からない言動が見られ、かつ5歳以下の小さい子供の場合はできるだけ解熱剤を使わないようにしましょう。
安易に解熱剤を使ってしまうと、自らインフルエンザ脳症の重症化を進めてしまうことになります。